大判例

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東京高等裁判所 昭和44年(ラ)633号 決定

抗告人は本件強制競売開始決定は本件債務名義が抗告人に送達される前になされた点において違法があると主張する。成程一件記録によれば、本件強制競売開始決定がなされた昭和四三年四月一六日当時には本件債務名義が送達されておらず、その後である同年六月六日に至つてその送達がなされていることが認められ、これによれば本件強制競売開始決定は本件債務名義の抗告人への送達前になされた点において違法たるを免れないというべきであるが、債務名義を執行開始前又は執行開始と同時に執行債務者に送達せしめる趣旨はこれによつていかなる債務名義に基いて執行を受けるかを執行債務者に予知させその利益を保護することにあり、他方執行方法に関する異議は強制執行の実施に際し適法に執行手続を進行終了せしめることを目的とするものであるから、右異議により執行が取消されるまでの間に債務名義が執行債務者に送達された場合には、その不送達の違法は治癒され執行の取消を要しないものと解するのが相当である。従つて前記の本件債務名義の抗告人への不送達の違法は本件債務名義が昭和四三年六月六日抗告人に送達されたことによつて治癒されたものというべく、所論は結局理由がないといわなければならない。

(浅賀 岡本 田畑)

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